デス・オーバチュア
第216話「姫君は世界を知らず」



クリアの王城の廊下を一人の少女が歩いていた。
横結び(後ろ髪の一部を両横でまとめて結んだ髪型)にされた茶髪、赤みがかった茶色の瞳、年の頃は十三歳ぐらいの小柄な少女。
黒革のノースリーブジャケットは五つのボタンでピッチリと止められ、袖口(肩口)から伸びる両腕の黒いアームウォーマーには皮バンドが四つも巻かれていて、拘束着のような拘束感を感じさせていた。
下半身は赤に黒のタータンチェック(格子縞の模様)のフレアスカート。
フレアスカートの丈はミニスカート並みに短く、赤と黒のストライプ(縞模様)のオーバーニーソックスとの絶対領域(僅かな肌の露出部分)を黒いガーターが繋いでいた。
首の黒いチョーカーには、銀色のチェーンが絡まり、中央には十字架が吊されている。
分厚い黒の皮靴もチョーカーと同じく、チェーンと銀細工で派手に装飾されていた。
左手の薬指には剣をデザインしたような銀のリングが填められている。
まるで、Dのゴシックロリータ(退廃的で耽美的な少女趣味)とダルク・ハーケンのパンク(反抗的)なファッションが合わさったような服装だった。
差詰めパンクロリータとでもいった衣装の少女は目的地に辿り着く。
パンクロリータな少女は、目の前のドアを勢いよく開け、『自分の部屋』へと足を踏み入れた。
その部屋にあったのは高級だが悪趣味ではない家具達と……無数の『剣』である。
例えるなら、可愛らしいお姫様の部屋が、所狭しと飾られ、あるいは放置されている剣達によって浸食されているといった感じだ。
「ん〜♪ やっぱり、この剣だけは質も品も格も桁違いねぇ〜」
少女は、ベッドの上の壁に張り付けられている黄金の剣を見て満足げに呟く。
金色の輝きを放つ全てが黄金で作られた豪奢な直剣は、さらに異なる輝きを放つ赤と青の装飾や模様で彩られていて、その美しさはこの世の物とは思えぬ程幻想的で神秘的だった。
その剣は例えるなら宝石剣(ジュエルソード)。
刃と鍔と柄は一体型で全てが神々しい輝きを放つ黄金でできており、鍔の中心には金剛石(ダイヤモンド)が埋め込まれ、剣の模様のような赤と青は紅玉(ルビー)と青玉(サファイア)の輝きを放っていた。
「真なる王の聖剣エクスカリバーか……まさに、唯一にして絶対の王女たる私に相応しい剣ねっ!」
絶対王女(アブソリュートプリンセス)……最も正式な彼女を現す称号でありながら、彼女をそう呼ぶ者はあまりいない。
絶対的な存在と言うには、彼女はまだあまりにも幼く、不安定だからだ。
主に彼女はこう呼ばれていた……クリア国の過激な王女(エクストリームプリンセス)と……。


過激な王女こと、アーシュロット・クリア・アブソリュートが聖剣(エクスカリバー)に手を伸ばした瞬間だった。
「貴様、いい加減に僕の聖剣を返せっ!」
青と黄金の色違いの瞳を持つ金髪の美少年が怒鳴り込んできたのは……。
オッドアイ……それが少年の身体的特徴であり、同時に彼の名でもあった。
聖魔王オッドアイ、聖なる青き光輝と古代魔族の純粋魔力を自在に使い分ける、魔界の西方を支配する魔王である。
「あ、アイちゃん、また来たんだ?」
アーシュロットは右手で聖剣の柄を掴みながら、オッドアイの方を振り向いた。
「誰がアイちゃんだ!? 城ごと消し飛ばされたいのか!?」
城どころか、国ごと、大陸ごと消し飛ばすことさえ、オッドアイには容易いことである。
「きゃあ、怖いいっ!」
アーシュロットは壁から剣を外すと同時に振り下ろした。
剣先から莫大な黄金の光輝が吐き出され、一瞬でオッドアイの姿を呑み尽くす。
「あははっ、消したいモノだけを消せるなんて便利な光だよねぇ〜」
黄金の光輝が消えると、何事もなかったかのようにオッドアイが同じ場所に立っていた。
それだけでなく、周囲の壁や床などにもまったく『被害』がない。
「でも、アイちゃんだけは消せないんだよね……残念っ!」
「当たり前だ、貴様程度の魔力を変換した光輝で僕が消せるものかっ!」
本当は、まがりなりにもアーシュロットが聖剣を『使える』ことには驚嘆していたのだが、それを口にして、ますますこの小娘を調子づかせるわけにはいかなかった。
「それは人間如きには過ぎた剣だ。いい加減、正当なる所有者である僕に返せ!」
「ええ〜? 嫌っ!」
アーシュロットはきっぱりと拒絶する。
「拾った瞬間からこれは私のもの! それによく言うでしょう? 私の物は私の物、あなたの物も私の物って!」
実にお姫様らしい我が儘ぶりだった。
「ふざけるなっ! 僕が本気で怒る前に聖剣を……」
「んん〜、仕方ないな……じゃあ、一割貰うだけで我慢してあげる。ああ〜、私ってなんて遠慮深いんだろう〜」
アーシュロットはそう言うと、鍔の中心に埋め込まれている金剛石(ダイヤモンド)を爪で剔り出そうとする。
「よせっ! どこが一割だっ!? その宝石は……」
「あっ、痛っ! うぅ〜、爪が……」
爪が折れたのか、剥がれたのか、アーシュロットは瞳に涙を浮かべて、指をくわえていた。
「ふん、自業自得だ。無駄だと解ったら、素直に返……」
「解ったわ……やっぱり爪じゃ駄目よね?」
「何?」
「ちゃんと刃物を使わなきゃ……」
足下に転がっていたナイフを拾うと、宝石を剔り出そうと剣に近づける。
「やめろぉぉっ!」
「つきゃあああああっ!?」
オッドアイが右掌から撃ちだした青い光輝がアーシュロットを吹き飛ばした。


「鬼っ! 悪魔っ! 鬼畜っ! 私の部屋が滅茶苦茶じゃないですかっ! まったく何考えているんですか、もうっ!」
爆発で滅茶苦茶になった部屋の中で、アーシュロットは吠えるように早口で文句を言う。
なぜか、丁寧語というかですます口調になっていた。
「…………」
オッドアイは言い返すわけでもなく、無言でアーシュロットを見つめている。
この少女を相手にしていると、どうも調子が狂うのだ。
そもそも、自分の聖剣を奪って返さないなどという『無礼』を働いたのに、なぜ妙な遠慮というか……本気で殺す気が沸かないのだろうか?
「ああっ!? お気に入りのドレスソードが粉々にっ! うきゃあぁっ!? 貴重な極東刀まで折れてるぅ〜っ!」
オッドアイが思索している間に、アーシュロットは損害の確認作業に移っていた。
「…………」
きっと弱すぎて殺す気が……本気で相手をする気が沸かないのだろう。
そう納得しようとしたが、それならそれで、いつものように無価値な塵としてあっさりと消し去れるはずだ。
「…………」
塵(ただの人間)と言うには力があり、かといって本気で戦ったり……相手にする程でもない……実に半端な存在である。
「むぅぅ〜、部屋や家具はまあいいとして……コレクションの方は損害賠償を請求したい気分ね……訴え……て、無理か」
人間でない存在相手に裁判などしようがなかった。
「いいえ、そもそも、このコレクションを集めるのにどれだけ苦労したかっ! どれだけの思い入れがあったかっ! お金なんかいくら貰っても填補できないわ!」
「…………」
オッドアイは思索に耽っているのか、無視しているのか、無言である。
「聞いてる、アイちゃん? 少しは悪いと……」
「……あの程度の爆発で壊れるなら、ただの塵だろう?」
「なあああっ!?」
オッドアイは溜息と共に言った。
あの程度の爆発で壊れるなら、聖剣でも魔剣でも、名剣ですらない。
少なくとも、オッドアイの認識ではそんな弱く脆い剣は全て塵だった。
その証拠に塵でない宝、アーシュロットの右手に握られた聖剣は傷どころか、穢れ一つなく、美しく光り輝き続けている。
「ひとの部屋を……コレクションを台無しにしておいて……欠片も悪いとは思わないんですかあっ!?」
左手の銀のリングが一瞬光ったかと思うと消失し、代わりに彼女の左手には巨大な剣(クレイモアー)が握られていた。
「それどころか、逆切れして私のコレクションを貶すなんて……絶対に許せませんよっ!」
アーシュロットは聖剣と大剣を交差するようにして構える。
彼女の全身から猛烈な勢いで青い光輝が立ち登っていった。
「…………」
そうか、この小娘は怒るというか、ムキになると丁寧な口調になるのか?
普通は逆……地の方が乱暴なはず……変な奴だ……とオッドアイは呑気に分析していた。
「ゴールデンブルーストライプ!!!」
振り下ろされた大剣から青い光輝が、聖剣から黄金の光輝が解き放たれる。
青と黄金の光輝が絡み合い、極太のストライプ(青と黄金の縞模様)の光輝となってオッドアイに迫った。
「……技も名前も即席なのがもろ解りだな……」
オッドアイは無造作に突きだした左手で、あさっりと光輝の先端を受け止める。
「嘘っ!?」
「短慮な……自分の城を吹き飛ばす気か?」
「あっ!?」
「馬鹿が……」
呆れ果てたように嘆息すると、オッドアイは光輝を頭上へと弾き飛ばした。



果ての無い、ただ歪んでいるだけの無限の空間。
空間中に無数の門が『埋め込まれる』ように浮いていた。
「…………」
此処は魔皇界の魔皇城、その遙かな地下。
異界へと繋がる無数の門が存在するその『部屋』に、一人の少女が居た。
魔や黄金を象徴するには淡く薄い……月明かりのような儚げな金色の髪と瞳。
黒い布切れのようなローブを纏った九〜十二歳ぐらいの幼い、とても愛らしい少女だった。
「…………」
彼女の名はモニカ・ハーモニー、魔眼皇とその第二皇妃の間の二番目(第一皇妃の娘も含めると三番目)の娘(皇女)である。
実母と実兄姉に疎まれ、次元の門番という口実で、この場に気が遠くなる程長い年月幽閉され続けている身の上だった。
「……っ……」
モニカはなぜか、言いようのない胸騒ぎを覚える。
こんな胸騒ぎが……不安で心が落ち着かなくなるのは、今までなかった。
「……地上……人間界……」
胸騒ぎの原因、理由は解らない。
けれど、その原因と理由がある場所……世界だけは、次元の門番である彼女には解っていた。
そして、地上で思い当たることなど、『従兄弟』と『叔父』が滞在していること以外には何もない。
「……くっ……」
不安に耐えきれずモニカが立ち上がろうとした瞬間、鎖の鳴る音が響いた。
「ん……」
その音で彼女は思い出す、自分がこの部屋に『繋がれている』ことを、外へ出るのは許されていないことを……。
今まではその境遇に不満を持ったこともなかった。
自分がここに幽閉されていることで、お母様の心が安らぐのならそれでいいと思っていたし、外の世界にも別に何の執着もなかったから……。
いや、執着がないのは当たり前だ、自分は外の世界をまったく知らないのだから執着のしようもなかった。
生まれてすぐに此処に幽閉されて、一度も外へ出してもらったことがない。
モニカにとっての『世界』は、この『部屋』だけだった。
「……外に興味は……ないことも……なかった……」
でも、どうしても出たいとは……お母様に逆らってまで出たいとは思わない。
少なくとも、今日まではそうだった。
「…………」
『力』を全開で使えばこの冷たい『鎖』は断ち切ることはできる……かもしれない。
この鎖は切れないのではなく、あえて切らなかったのだ。
今日まで切ろうと試そうとすらしなかった……なぜなら、この鎖を切ることは、お母様に逆らうことになるからである。
「…………」
お母様に恐れられ、嫌われ、憎まれているのは解っている……それでも、この鎖を断ち切るのは、親子の絆を完全に断ち切ってしまう気がして嫌だった。
鎖を断ち切ることは、母との完全な決別を意味する……なぜかそんな気がするのである。
「……だから……わたしは此処から動けない……」
モニカには『母』を断ち切ることはできなかった。



「……とりあえずおしまいと」
ディアドラ・デーズレーは聖書(テオゴニア)を閉じた。
クリア国での一連の騒動が終幕を迎えたためである。
物語に例えるなら、まだそれぞれの後日談というかエピローグがあるだろうが、そこまで『視て』いるつもりはなかった。
ディアドラが居るのは常世の国の常昼の領域である。
常昼の領域は文字通り常に昼で、時間の変化が感じられず、常世に来てからどれだけの時間が経過しているのかディアドラにはもう解らなくなっていた。
「……まだ居たの?」
境界の向こう側、常夜から声が聞こえてくる。
「あら、お目覚め、アリスちゃん?」
姿を確認するまでもなく、声の主……これから現れる者が誰なのかディアドラには解っていた。
「あら〜?」
ディアドラの予測は半分正解で、半分外れる。
姿を現したのは、アリス・ファラウェイだけではなかったのだ。
橙色(オレンジ)の髪と瞳をした長身の『ディーラー』、本来はセミロングほどの後ろ髪を菫色(バイオレット)のリボンで結い上げている。
タキシードのような衣装だが……正確には首に蝶ネクタイをし、白いシャツは着ずに、黒い上着だけを肌に直接着ていた。
上着はノースリーブで丈も短く、胸元、脇、そして、おへそというか腹部が殆ど丸見えで露出がとても激しい。
下半身はズボンではなく、左右にスリットの入ったミニのタイトスカートだった。
両手には長手袋を填め、両足は生足にハイヒールを履いている。
以上の衣服は全てが美しい光沢のある黒色だった。
「人形……じゃないわよね?」
そんな女ディーラーが右手に金髪の人形を抱きかかえている。
「似たようなモノよ」
喋っているのは女ディーラーではなく、彼女の抱えている身長95〜100センチぐらいの人形である。
「……それにしても、浮いたり、他人に運んで貰ったり……本当に怠け者ね、アリスちゃんは〜」
「人形が『歩かない』のは当たり前でしょう?」
「少しは運動しないと太るわよ〜……て、人形が太るわけないか?」
「…………」
アリスは肯定も否定もしなかった。
「もしかして太るの? 芸の細かい……」
ディアドラはなんとなく人形(アリス)の全身を注視する。
金髪人形ことアリスは『昨日』とは違った格好をしていた。
精緻かつ華やかな吉祥(松竹梅・鶴亀・鳳凰の)模様で埋め尽くされた黒の上衣、可憐で清々しい膝上丈のプリーツスカート。
動く度にシャンシャンと音を鳴らすほどに豪華な銀飾りの冠を被り、金髪は大きな二つの輪を作るようにして結われていた。
さらに、前に垂らした少量の髪を豪奢な金属の筒(髪留め)で束ね、額や耳にも派手な飾りを付けている。
「そう言うのもチャイナドレスっていうのかしらね?」
東方の正装(ドレス)といえば、チャイナドレスとか呼ばれる体にフィットしてボディラインを強調するような、深いスリットの入った扇情的なものを連想がちだが、今、アリスが着ているような華美で重そうなドレスもまた存在していた。
個性的な民族衣装であり、宮廷装束……皇帝やお姫様のように派手な姿である。
ディアドラの脳裏に、彼女を表現する適切な言葉として『お洒落な孔雀』という単語が浮かんだ。
「ねえ、重くないの〜?」
「……そうね、頭は結構重いわ……」
アリスが無表情のままそう答える。
「いや、そうじゃなくて、アリス(あなた)が重くない?……て、後ろの人に聞いているのよ〜」
「…………」
アリスを片手で抱っこしてあげている女ディーラーは無言で何も答えなかった。
女ディーラーも無表情というか、澄ました顔をしていて、少なくともアリスを抱えるのが辛そうには見えない。
しかし、アリスは人形にしては大きめ(身長95〜100)で、人間とまったく同じ重さだったとしたらかなりの重さのはずだ。
「大丈夫よ、私は『人間』よりは少し軽いから」
「あら? それ、ビスクとかじゃなくて、『生き人形』……人間とまったく同じ人形でしょう?」
生き人形とは、人形師達が創る、自らの魂(人格)を持ち、人間とまったく同じことができる人型である。
人間と人形の違いは、有機物でできているか、無機物でできているか、自然に生まれたか、人工的に創られたか……それくらいだ。
人間の三大欲求まで持つ人形も存在し、最早、人形ができない人間の真似事は子供を産む事と歳をとる事だけと言っても過言ではない。
「生き人形……その呼び方はあまり好きじゃない……」
アリスは僅かに顔をしかめた。
普段の無表情(気怠げ、やる気無さそう、ボーッとしている)な時は人形のようだが、拗ねたり、怒ったり、感情が変化した時の表情は実に細かくて人間らしく、とても人形には見えない。
「それはごめんなさい、確かにあまり雅な呼び名じゃないわね……でも、他に適切な呼び名がないし……ただ人形だけだといろいろあって紛らわしいし……自動人形(オートマター)なんてどう?」
「自動(オート)で動く物質(マター)……自動人形ならオートドールの方がいいんじゃない? オートマターだと人間も含むし……」
「あら、それもそうね。でも、西方なんかだと最近はそう呼ぶ人が結構いるのだけど……」
「…………」
「ちなみに、機械人形はアンドロイドて呼び分けたりして〜」
「西方かぶれ……」
「あ、酷い〜」
軽く侮蔑するように呟くと、アリス……正確には彼女を抱えた女ディーラーが歩き出した。
「西方のセンスは合理的すぎて雅がない……それに、科学なんて万人向けなものは、巧みの技である人形術とは相容れないものよ……」
「あ、それリーヴちゃんと同じ考え方ね。あの子もアリスちゃん(ご先祖様)に似たのかしらね〜?」
「……誰、それ?」
「私の愛弟子よ。私と違って、創造の才がとてもあるの〜」
ディアドラは自分のことのように誇らしく、楽しげに言う。
「……あなたは傀儡の才が強いのね……見た目通り……」
アリスは立ち止まらず、前へと歩きながら応えた。
「見た目通り〜?」
「傀儡……操るのが好きな者は、性格が複雑にひねくれている者が多い……創造……創るのが好きな者は、一途で純粋な者が多い……」
「あら、うふふっ」
楽しげに笑うだけで、ディアドラは別に否定もしない。
「傀儡師(操師)は、視野が広く(気まぐれで)思考が柔軟(手段やスタイルを選ばない)……人形師(創師)は、集中力があり(視野が狭く)、一途にのめり込みやすい(拘りを持ちすぎて融通が効かない)……」
アリスの言葉は、長所と短所が重なって聞こえた。
「うふふっ、まさに、一長一短といったところね。まあ、私はただ単に操る方が好きなだけよ……人形自体は優れていれば誰が創ったものでも別にいいわ〜」
「典型的な傀儡師……ドールマスターも代を重ねて、そこまで極まった(歪んだ)か……」
自嘲にも見える嘲笑の笑みを口元に浮かべる。
「言ってくれるわね……じゃあ、傀儡師であり人形師でもあるあなたはどんな性格なのかしら〜?」
「無論、執着が激しくてひねくれ者で、融通が効かなくて手段を選ばない性格よ」
アリスは振り返ると、無垢で可愛らしい笑顔を浮かべてきっぱりと言い切った。









第215話へ        目次へ戻る          第217話へ






一言感想板
一言でいいので、良ければ感想お願いします。感想皆無だとこの調子で続けていいのか解らなくなりますので……。



簡易感想フォーム

名前:  

e-mail:

感想







SSのトップへ戻る
DEATH・OVERTURE〜死神序曲〜